インドをもっと知ろう!

English

 Travel India

Home

 アジャンタ

アウランガーバードから107km、ワーグラー渓谷の断崖に、岩を掘り起こした石窟群がある。
アジャンタ遺跡である。

世界遺産にも登録されたアジャンタ石窟群は、紀元前2世紀(小乗仏教期)から紀元8世紀(大乗仏教期)にかけて彫られたとされる30の窟院の中に、ブッダの一生やその前世を描く仏教壁画と、ストゥーパや涅槃像などの彫刻の数々が見られ、その保存状態のよさが仏教の時代背景とともに貴重な遺跡である。

これらの完成度の高い仏教絵画は、その後中央アジアや中国、そして日本の仏教絵画に影響を与えた。

窟院群には、礼拝などの用途に使用されたチャイティヤ窟と、僧侶たちの住居に使用されたヴィハーラ窟(居住窟)とにはっきりと分けられる。


蓮華手菩薩  第1窟
チャイティヤ窟にはストゥーパと呼ばれる仏塔があり、それらを通して仏教建築の変遷がよくわかる。
ヴィハーラ窟には僧侶たちが使っていたとされるベッドの跡が並んでおり、当時の生活を想像させる。

これらの窟院は、僧侶たちがハンマーやのみによって彫りあげたものだ。

建築には、当時アジャンタ地方を統治していたマハヤナ藩王国が関わっていたとされ、グプタ朝の特徴と様式が共通しており、5世紀頃中央インドで栄えたヴァカータカ帝国の影響を受けている。

アジャンタ石窟の壁面や天井に見られる息を呑む絵画の数々は、そのユニークな特徴がインドの絵画史上例を見ないものばかりである。

絵の具は赤と黄色は砂土から、緑色は植物から、黒は炭から、青はペルシャから輸入していたとみられる。
その絵画のテーマのほとんどは、ブッダの一生やその前世に関するものである。
アジャンタへの交通 ――
アジャンタから107kmの地点にある都市アウランガーバード(Aurangabad)が、交通・宿泊ともに便利なのでアジャンタ観光の基地とするのに最適である。
アウランガーバードに着いたら、アジャンタ行きのバス、プライベート・カー、タクシーなどに不自由することはない。
飛行機:
デリーやムンバイからアウランガーバード空港へ、Indian AirlinesやJet Airwaysの直行便が毎日ある。 
列車:
アウランガーバード駅へムンバイCST駅より直通列車が一日2本、プネからのアクセスもよい。
バス:
ムンバイ、プネ、ジャルガオン、シルディ、ナシク、アーメダバード、ハイダラバード、インドールなどからアウランガーバードへの州営・プライベートバスの便が充実している。
またMTDCはムンバイからアウランガーバード行きのツアーバスを運営している。

またもう一つの基地駅としてのジャルガオン(Jalgaon)駅は、アジャンタからわずか59kmと近く、またインドのメジャーな都市からアクセスがよい。
ジャルガオンからアジャンタ行きの州営バスが運行している。

宿泊 ――
アジャンタ石窟入口わきにMTDC経営のレストランも兼ねたMTDCトラベラーズロッジがある。
またアウランガーバード駅の近くにMTDCホリディ・リゾートがある。
Holiday Resort, Station Road, Aurangabad - 431001


この他にもアジャンタ観光に便利なホテルは、周辺およびアウランガーバードに充実している。

アジャンタ壁画は、第1窟のものが壁画の完成度、保存状態ともに特にすばらしい。
後廊の本堂入口両脇には有名な蓮華手菩薩(Buddhisattva Padmapani)金剛手菩薩(Buddhisattva Vajrapani)がある。
これは日本の法隆寺金堂内陣の菩薩像の起源とされている。

天井や前廊にも無数の壁画が見られる。

第2窟も壁画の保存状態がよく、特に後廊の本堂両脇に千仏が壁一面に描かれており、天井装飾もすばらしい。

入口にエレファント・ゲートと呼ばれる象の彫刻のある第16窟には、左廊にDying Princessなどの壁画が残されているが、比較的簡素である。

第17窟壁画は第1窟のものと並んで保存状態、完成度ともにすばらしく、正面廊左壁には六道輪廻図、右壁には酔象調伏など、壁一面にブッダの前世に関するジャータカ物語の壁画が残る。

ところが700年間にも渡る開窟作業の後、アジャンターは何らかの理由により突然放棄されてしまう。

そののち1000年以上歴史から忘れ去られていたアジャンタ石窟群は1819年、付近にトラ狩りに来ていたイギリス軍人ジョン・スミス氏によって偶然発見される。
第10窟に発見者John Smithの落書きが残されている。

スミス氏が初めて断崖に石窟を見つけたView Point(展望台)からは、この美しいU字型のワーグラー渓谷に並ぶアジャンター石窟群が眺望できる。


Copyrights  © 2001-2003,ASKSiddhi.com, All rights reserved.