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photo from BBC News


「フットボールに恋して」
2006.6.26(月) BBC News

Begusarai, Bihar:
ロナウド、ロナウジーニョ、ジダン、カカ、デヴィッド・ベッカム ―― 遠く離れたインド東部州ビハール、貧しい一寒村の少女たちにとっても、華やかな彼らは憧れの的である。

ビハール(Bihar)州バラウニ(Barauni)村、ここの少女たちは食べる、着る、眠る、生活リズムの全てがフットボールであり、特にワールドカップ開催中の今は、夜遅くまで寝ないで大好きなチームの観戦に夢中だ。

「ドイツのファンなの。4年に一度の大切な祭典だもの、見逃せるわけないじゃない」
マウサムさんは興奮気味だ。

この村の娘たちは、何もフィーバーだからといってフットボールに入れ込んでいるわけではない。

3名の国体試合、7名の州試合プレー経験を持つ少女らを抱える、村のフットボールクラブに所属し、普段から熱心な練習を積む筋金入りの金の卵なのだ。
また、チームは4年前に国内チャンピオンに輝いたほどの実力を持つ。

チームメンバーの一人で貧しい農民出身、アヌさんは、アンダー17で国体に7回出場、最近はマレーシアと中国へ遠征試合に出掛けた。


アヌさんとお父さん
photo from BBC News

両親はバッファローを養って月に2000ルピー(およそ6000円)ほどを稼いでいるに過ぎないが、そんな娘を誇りに思い、心から応援する。

キャプテンのマウサムさんは自信を持って言う。
「もし訓練に必要なだけ、十分な設備を提供してもらえたら、バラウニ村の皆は世界の女子サッカーを制覇できるわ」

実はこの村、政治がらみで100名ほどが命を落としたという、ほぼ無法地帯であるとの悪名の方が高く、少女たちの取り組むサッカーでの実績は、ほとんど知られていなかった。
どうやらそれは州政府すらも同様で、これまで地元の政治家が、3000ルピー(およそ9000円)ほどの寄付をよこしたに過ぎない。


photo from BBC News

でも、なぜバラウニ村の少女にフットボール?

チームのコーチを務めるサンジーヴ・クマールさんは、「娘たちは規律を守り、持久力があるんです。男子もプレーしますが、残念ながら一貫性がなく規律を守りませんので、強くなれません」と分析する。

これが、バラウニ村の女子スポーツが盛んな理由なのか。
寂しい村なのに、6エーカーの立派なスタジアムが建設されているのも興味深い。

村にある11の小中高校でも、本格的なスポーツ教育に乗り出そうとしている。
近隣にある工業地帯のおかげで、ビハール州内ではとりわけ停電が少ないという利点も、スポーツには好条件となっている。

女子フットボールクラブの事務局に勤める女性は、「スポーツ精神が、村の人々をひとつにしていると思う。それが一番大切なことよ」と語り、またある人はカースト差別が顕著に残る州内において、その架け橋とさえなっていると称える。

スポーツを全面的に奨励する先進的なこの村の名前を、バラウニ・ケールガオン(スポーツ村、バラウニ)と改称しようという提案すらある。

バラウニの少女フットボールチャンピオンは、この村とこの州を、きっと変える力となることだろう。

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スラムの少女たちがボクシングをがんばっているニュースも然り、貧しい彼らが、将来のインドスポーツの振興を支えていくのではないかと希望を持っています。

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