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ダッバー・ワッラーは未来のMBAの先生
2006年11月1日(水) Hindustan Times

Mumbai:
従業員5000人、取引顧客数40万件、移動距離70キロ。
使用テクノロジー、なし。
一日の業務時間6時間、エラー率1600万分の一。
ビジネスの原則はひとつ:就労は奉仕である。

将来の国を担う取締役候補たちは、ムンバイのダッバー・ワッラーから学ぶことが多くある。
(注:ダッバー・ワッラーとは、ムンバイ住民の昼の弁当を、家庭からオフィスへ届ける配達人のこと)

(10月)29日、プロのダッバー・ワッラー、マヘシュ・トリパティ(Mahesh Tripathi)さんは、インド経営大学(Indian Institute of Management:IIM)分校(Shaliesh J Mehta School of Management)で催された講演会で、全国各地から集まった500名の学生たちを前に教壇に立った。

「我々ダッバー・ワッラーのほとんどは第8学年(中学生程度)すらまともに修了しておらず、読み書きもろくにできない。しかし、我々にとって仕事とは神であり、決して失敗できないものなのだ」
トリパティ氏は、その業務の驚異的な正確さ、低価格性、顧客本位性、勤勉さを支えるシンプルな秘密を明かした。

ダッバー・ワッラーたちに運ばれる弁当箱の数は、毎日20万個。
各ダッバー・ワッラーは、75〜80キロの重量はある弁当箱入りのかごを、家庭からオフィスへ、さらに空の容器をオフィスから家庭へと運ぶため、ムンバイのローカル列車や自転車、徒歩を使う。

仕事中はまさに「戦時」であり、信号であろうと列車の遅延であろうと、彼らの配達時間が遅れる理由にはならない、とトリパティ氏。
「だが、時計を持っているものなどほとんどいない。時間管理は生き方のひとつなんですよ。」と言い切る。

さらにダッバー・ワッラーたちには階級がなく、全ての収入は公平に分配される。
今までストライキを起こしたこともない。
創業から116年、現在ダッバー・ワッラーの母体「Nutan Mumbai Tiffin Box Suppliers Association」が獲得する年間売上額は1億8000万ルピー(約4億5000万円)、品質保証の世界基準証であるSix Sigmaを取得している。

こういった事実が、彼らを一躍有名なビジネスモデルの張本人としているわけだが、トリパティ氏は、こうした賞や認定証などは、チャーチゲートにあるちっぽけな事務所では何の意味も持たないときっぱり。

いっぽうでこの講演は学生たちに大変な好評を集めている。
「技術やテクニックなしに、間違いなく弁当を配達しているというその事実に驚愕しています」
インド工科大学(IIT)から傍聴にきたエンジニア候補の学生は漏らす。

「大学では戦略的計画と時間管理の策定方法を学んでいるが、彼らはそれを実際に体現しているのだから凄い」マネジメントを学ぶ別の学生はそう語った。

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納期を守らない、質が悪い、バグが多い、そんなソフトウェア開発業務も多い中、ダッバー・ワッラーは確かにわたしにインドで生きてゆく勇気を与えてくれました。


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